2024年10月18日金曜日

向島別邸と蔵春閣


令和5(2023)年に新潟県新発田市に移築された大倉喜八郎の「蔵春閣」。

明治45(1912)年に「蔵春閣」を建てるとき、大倉喜八郎は伊東忠太や他の建築家に意見を求めたそうです。


今度此の向嶋の別莊を、新しく建て增すに當つても、片山博士だとか、妻木博士だとか、伊東博士だとかの、専門家の人達に、それぞれ相談をしたのである。


参考:1912年7月刊行「建築工藝叢誌」掲載の大倉喜八郎蔵春閣建築瑣談」より


蔵春閣の建築にも、伊東忠太は関係していたのですね。


伊東忠太が描いた日記やフィールドノート、絵葉書、写真など貴重な資料が日本建築学会建築博物館に所蔵されています。

それらはデジタルアーカイブスとして閲覧可能ですが(伊東忠太資料【古写真 国内建築写真など】)その中に、大倉喜八郎、向島別邸の写真もあるのです


※ちなみに、祇園閣の模型や京都の祇園鉾(長刀鉾かなぁ?)建築当時の祇園閣(眞葛荘もかな?)の写真もありますよ。


大倉喜八郎が京都別邸「眞葛荘」「祇園閣」を建てたいと伊東忠太に依頼したのは、大倉集古館の再建を依頼したのと同じ大正15(1926)年頃。

『向島別墅に呼ばれて~』と伊東忠太が回顧しています。

参考:鶴翁餘影』より


伊東忠太資料【古写真 国内建築写真など】の写真一覧リストには【大倉向島別邸】と記載されていますが……。

その写真の建物が、新発田に移設された蔵春閣と似て見えるのは、伊東忠太が大倉喜八郎に呼ばれて祇園閣の話を聞いた場所が蔵春閣で、その帰路に蔵春閣を写真に撮った、と想像してしまったからなのかもしれません。


2024年10月12日土曜日

2024年京都モダン建築祭で祇園閣が特別公開されますよ

2024年7月~9月【第49回 京の夏の旅】世界遺産&京の名建築と夏の庭 で祇園閣が特別公開されていました。

京の夏の旅

京都東山にある大倉喜八郎別荘(眞葛荘)地内に喜八郎90歳を記念して建築された楼閣です。

※眞葛荘、祇園閣ともに、京都市東山区にある 本山龍池山 大雲院(織田信長・信忠親子の菩提を弔うために天正15年に創建された寺院)境内にあります。

そしてなんと!

11月から開催される「2024年 京都モダン建築祭」のプログラムで

11月2日~3日の2日間、祇園閣が特別公開されます。

京都モダン建築祭とは?

京都モダン建築祭は、京都に現存する魅力的なモダン建築を一斉公開するプロジェクトです。2022年に文化庁京都移転記念事業として、京都モダン建築祭実行委員会と京都市 の共催でスタートしました。建築一斉公開イベントでは全国でも珍しい有料パスポート方式を初めて導入し、パスポート公開とガイドツアーを主なプログラムとして実施。 会期中、モダン建築に関するさまざまな催しが京都市内各所で一斉に行われます。

引用:京都モダン建築祭より 

祇園閣内を見学する場合、京都モダン建築祭のパスポート購入が必要です。

建築祭の開催期間は前期(11月2日、3日)と後期(11月9日、10日)にわかれているので、祇園閣を見学するなら、前期パスポートを購入となります。
前期後期どちらも見学できる全期間パスポートもあり、そちらでもOK。

パスポートを購入すると、プログラムに参加している通常非公開の建築物やスペースを見学することができますよ。

祇園閣だけではなく、例えば11月2日は京都市円山公園音楽堂、11月3日は京都国立博物館 明治古都館・技術資料参考館・茶室堪庵などですね。

対象期間のパスポート公開建築物に何度も入場できるというのも嬉しい。
見逃し、見落としに気づいた場合、戻って見る。

京都モダン建築祭ではパスポートツアーの他にも、ガイドツアーや建築見学+ランチ、ディナー、宿泊つきの豪華プランもありますが、こちらは先着受付中なので受付終了のものもあります。

任天堂旧本社屋「丸福漊」に泊まるプランなど。豪華!

じつは、祇園閣のある喜八郎別荘の眞葛荘もガイドツアー特別見学開催されるのですが、事前予約抽選での受付で終了しています。落選残念。

11月9日開催予定の【平安神宮・京都国立近代美術館】倉方先生と2つの名作、非公開エリア特別見学&正式参拝 のガイドツアーも気になりますが、受付終了です。

平安神宮も伊東忠太設計。
ガイドの倉方先生(大阪公立大学教授、建築史家:倉方俊輔先生)は京都モダン建築祭実行委員で伊東忠太研究の第一人者。

眞葛荘、平安神宮のガイドツアーは受付終了で参加できませんが、見ることはできますからね。

また、2024年京都モダン建築祭のプログラムには入っていませんが、伊東忠太設計の建築物が京都にはまだあるので、真宗信徒生命保険株式会社(現・西本願寺伝道院)豊国廟を見学するのもいいかもしれません。

秋の古都でモダンな建築をめぐる旅もよさそう。

2024年10月10日木曜日

伊東忠太設計の建物【新潟県2】


6月のブログ記事で触れた――


新潟にも伊東忠太設計の建築物があるということについて

8月のブログ記事


において、1つは、越後一宮 彌彦神社 ですが

もう1つは…ジャジャーン

越後浦佐 普光寺にある毘沙門堂(南魚沼市浦佐)です。


彌彦神社もそうでしたが、毘沙門堂も火災後の再建設計を伊東忠太が手がけております。
※昭和12(1937)年完成

毘沙門堂と宝蔵殿の間にある廊下に、伊東忠太の設計図が展示されていますよ。

さて。

普光寺の山門楼閣天井には双龍が描かれた板絵があります。



作者は谷文晁

そして、谷文晁が描いた龍の絵が天井に飾られている建物が、新潟県内にはまだあるのです。

なんとそれは!


つづく(引っ張る)。