今日のイラストは、とよじいの佐渡島紀行「賽の河原」です。
佐渡島の賽の河原は、両津港から車で1時間ほど移動した、佐渡島の北西の突端近く、大野亀と二ツ亀という景勝地に挟まれた海食洞穴の中にあります。
近くに「願(ねがい)」という集落があり、願から海岸線に沿って遊歩道を歩いて1kmほど進むと、海食洞穴が見えてきます。
海に向かってポッカリと開いた穴の中には、複数のお地蔵様がおられて、海辺の石を積み上げた石積みがいくつも……。
賽の河原というのは、あの世(彼岸)とこの世(此岸)の間にあるとされる三途の川の河原のことをいいます。賽の河原では、親よりも先に亡くなった子どもが、親不孝の報いを受ける場所とされています。
親を悲しませた罪で、親の供養のために、石を積み塔を完成させなければいけませんが、石を積み上げると鬼がきて塔を破壊していく。また、子どもが石を積むと、鬼がきて塔を崩す、その繰り返しが親が三途の川に来るまで続きます。
ひとつ積んでは父のため
ふたつ積んでは母のため
みっつ積んでは故郷の兄弟わが身と回向して
ここで、子どもを救済に来てくれるのが、お地蔵様(地蔵菩薩)ということで、亡くなった子どものために、お地蔵様が置かれているのです。
お地蔵様は、六道(地獄、餓鬼、畜生、修羅、人道、天道)すべての世界に現れて、人々を救う菩薩様であると言われています。
地獄の閻魔大魔王と地蔵菩薩が同一の存在であるという説もあります。
日本では、地獄の責め苦からお地蔵様が救済してくれるということで、地蔵信仰が広まり、賽の河原で鬼に苦しめられる子どもをお地蔵様が守ってくれるというので、子どもの供養においてもお地蔵様は人気でした。
「賽の河原地蔵和讃」というものがあります。
ひとつ積んでは父のため、ふたつ積んでは母のため……というフレーズです。
賽の河原で石を積む子どもの様子を謳ったものですが、
この和讃の最後に、鬼にいじめられ父母を偲んで泣いている子どもの前にお地蔵様が現れて、子どもを抱きかかえるというシーンが描かれています。
我を冥土の父母と思うて明け暮れ頼めよと
幼き者を御衣のもすその内にかき入れて
哀れみたまうぞ有難き
佐渡島の賽の河原のお地蔵様の像も赤ちゃんを抱きかかえ、お地蔵様の足元に子どもたちが抱っこをせがむように手を伸ばしている姿となっております。
賽の河原は佐渡島だけではなく、日本各地に存在していいます。有名なのが青森県の恐山ですが、もともとは京都の鴨川と桂川の合流する「佐比の河原」に由来するようです。
地蔵信仰と「賽(さえ)の神」がミックスしたもの、という説もあるようです。
賽の河原やお地蔵様と閻魔様の関係などは、地獄の様子をコミカルに描いた漫画「鬼灯の冷徹」に詳しく載っているので、よかったら読んでみてください。
笑いながら、地獄極楽この世の仕組みが学べますよ♪
さて、佐渡島の賽の河原ですが、地元では2月の寒念仏にお参りをしているそうです。
そして「賽の河原にあるものは持ち出してはいけない」というルールがあります。
石、お供えなど「持ち帰る」と災いが起こると言われていますので、ご留意を。