柳絮(リュウジョ)
5月中旬、東大寺を訪れた知人が、大仏殿にフワフワ埃のような物が舞っていて気になったというので、フワフワしたものが何か調べてみました。
東大寺の境内(大湯屋)に丸葉柳(アカメヤナギ)という柳があり、春(初夏)に種子を包んだ白い綿毛、柳絮を飛ばすのだそうです。
大仏殿の参道にもアカメヤナギ(保存樹の説明板に書かれている名称。Wikipediaでは丸葉柳の別名としてアカメヤナギと表記)があります。
新緑の中、白い柳絮が舞っている動画が東大寺公式SNSにアップされていました。
動画もいいですが、小説家・田山録弥の『花二三ヶ所』に柳絮を描いた(以下の)美しい一説があります。
もう一つ春の花の印象として忘れられないのは、北京の郊外の玉泉山のあの天下第一泉の碑の立つてゐるところで、柳の花の飛ぶのを見たことであつた。
柳絮雪の如しとか、柳絮満天に飛ぶとかよく言つてゐるが、それを眼にしない中は、私は例の支那人の誇張癖とばかり思つてゐたのである。
それにしても、その美しさは! そののどかさは! 丸で粉雪か何ぞのやうに池の上に千点万点落ちて来るさまは!
それにあたりには蛙が頻りに鳴いてゐる。池には天下第一泉の清い水が滾々として湧き出してゐる。日は麗かに照つてゐる。実際、唐扇にでも書いてありさうなシインであつたのを記憶してゐる。
【引用:田山録弥『花二三ヶ所』】
東大寺は大湯屋の丸葉柳から舞う柳絮が風物詩のようですが、シダレヤナギをはじめとしていろいろな種類の柳があり、初夏にはあちこちで果穂がはじけて種を包んだ綿毛が飛んでいく様子が見られるそうです。
知人は柳絮を埃と思っていましたが、私も今までタンポポの綿毛? と思っていたものが柳絮だったかもしれない……。
今度フワフワするものを見たらケサランパサランかも!? などと思わずよくよく確認しよう。
上高地のネイチャーガイドファイブセンスさんのブログに
柳絮を見て柳の種類を見分けることができるか? という記事が掲載されていました。
上高地でも柳絮は初夏の風物詩とのことです。
7月、8月が楽しみですね。