2016年12月16日金曜日

根が浮き上がった桜のある場所は危ない!? 山桜のイラスト

今日のイラストは「山桜」と「雪山」です。
雪が降る季節である冬に桜!? と思われますよね。
雪が降ったから、春を思いまして……。冬が苦手なので、どうしても春に思いをはせてしまうのです。

桜というと、ソメイヨシノがよく知られていますし、また街路樹として植えられています。

桜はヤマザクラ、エドヒガン、オオシマザクラなどの種類があり、変性や交雑などから数十種類の自生種が存在していると言われています。

ソメイヨシノは、オオシマザクラとエドヒガンの交配種でクローン桜です。
江戸時代末期に、江戸の染井村の庭師や植木職人たちが育成したと言われています。

その実が発芽することはなく、自然に増えない桜です。
ソメイヨシノは、接ぎ木や挿し木など、人の手を介さないと、生存できないのです。

桜守の佐野藤右衛門さんは、著書『櫻よ「花見の作法」から「木のこころ」まで』で、
「夏の染井吉野はかわいそうや」と言っています。

ソメイヨシノは虫がつきやすく、テングス病にもなりやすい。けれど、花が咲く春だけもてはやし、あとは放っておく。夏になったら、誰もソメイヨシノを見ない(診ない)。

枝葉を伸ばし幹を太らせようとしているのに、葉が虫に食われても、枝が折れていても知らん顔をしている。

人が植えたくせに、咲いているのが当たり前という感覚で手入れを怠っている。


ソメイヨシノの寿命が、自生種に比べて短いと言われているのをご存知でしょうか?
60年寿命説というものもあります。

戦後大量に植えられたソメイヨシノが、同じような時期に寿命を迎えるかもしれないわけです。
ソメイヨシノは実生ではないので、いまあるソメイヨシノの寿命が一斉に尽きて、街路に桜が見られないという可能性もあるのです。

ただ、樹齢100年を超えるソメイヨシノもあるので、大切に管理すれば、街路のソメイヨシノも長生きしてくれるのではないでしょうか。

ちなみに、佐野さんは「山桜は放っておけばいい。自分で体調を整えている」と言います。
さすが、強いです。

佐野さんの、山桜に関する記述でためになる情報をもう一つ。

佐野さんは一人で山に山桜を探しに行くのだそうです。
そして、桜の推定年齢を確認し、その後、里山の年配者に山での異変の有無を確認する。

異変があった場所の桜は、根が浮き上がったり、穴が開いていたりする。
とすると、その桜が咲いている付近は、地盤の問題や土砂崩れが起きやすい場所である可能性がある。

昔の人は、そういった場所を避けて集落を作っていたと言います。

根が浮き上がった桜のある場所は、家を建てるときに気を付けたほうがいい。
それも、桜が教えてくれている……そう佐野さんが教えてくれています。

山桜を探しに行くと、その土地の歴史やいろいろなことが分かるそうです。